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[里山管理指導者の養成]

 

本講座は「里山の保全と活用」に関する活動の基本となるもので、農業構造の変化や人手不足などによって、荒廃のいちじるしい都市近郊の雑木林(里山)を再生、整備、活用するための指導者を養成することを目的とするものである。
マスメディアなどを通じて広く一般市民に呼びかけ、地元林業家を含む経験豊かな講師・指導者による講義(座学)と、実際の現場実習によって基礎的な技術の習得を行い、修了後の研修によって技術的にも高度な指導者を目指す企画である。年3回(初級・中級・上級)の講座と1年間(6〜10回)の現地研修を終えた者には修了証を授与し、指導者(リーダー)登録を行い、各プロジェクト活動推進の場を提供する。また、優秀な指導者を「里山委員会」の推薦により、各地の自治体や団体、企業などの実施するイベント、事業活動へ派遣する。

 

[里山・公園管理プロジェクト]

 

本事業は「里山の保全と活用」に関する具体的取り組みの」一つとして、近年各地の自治体が最も注目している活動である。身近な公園緑地の少ない我が国では、里山を都市住民の「身近な自然」として計画的に確保することが重要となっており、市民のレクリエーションや子供達の自然体験、自然学習の場として、また高齢化社会の到来に対する「生きがい」や健康維持などのために活用されることが望まれている。
一方、我が国では市民の社会活動参加の制度や場が少なく、英国をはじめ欧米諸国と比べ極めて未成熟であると言える。そこで我々は先進国から学びつつ、市民の余暇活動の一つとして国及び地方自治体の管理する「里山・田園型公園」(都市公園)や「自然公園」の一部をそれぞれの管理計画に基づいて整備を行い、より豊かな自然の復元と市民に親しまれる公園づくりをおこなうことを目的とするものである。

 

[稲作生態系保全プロジェクト]

 

我が国の自然の多くは、過去の人間とのかかわりの中で、その多様な気候風土と独特の農業的土地利用によって、多様かつ複雑な生物相を育んできた。中でも、ため池、水路、水田などからなる伝統的な稲作の水系は、コオイムシやマツムシなどの水生半翅類、ミズスマシやガムシなどの水生甲虫類、トンボ類など多種多様な水生昆虫類の温床であった。しかし、現在ではこうした稲作水系はコンクリート護岸や圃場基盤整備、あるいは生活排水や農薬などによる水質の汚濁・汚染などで生物の生息に不都合になり、中山間地域では、手間のかかる谷津田や棚田自体が放棄されたりしている。
そのため、かっての稲作水系に豊富に見られた水生昆虫の中には、タガメやゲンゴロウ、ハッチョウトンボなどのように、全国的に急激に減少してしまったものもいる。本研究では、中山間地域の休耕田に水深、管理方法などの異なる浅いため池(湿地)の実験区を造り、昆虫類を中心とする水生生物の種数や個体数などの推移を継続的に調査して、今後の水生昆虫のためのビオトープづくりの基礎データを集積する事を目的として実施している。

 

 

 

 

 

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